今読みたい本 紀行エッセイ「犬が星見た-ロシア旅行」

休職を機に心の整頓記録としてブログを始めましたが、書きたくない日、ネタがない日、心の移ろいもあっちへいったりこっちへフラフラの毎日です。苦笑。

ネタがない日は小さい頃からの唯一の趣味、読書。本について書くことにします。

 

今読んでいるのは、武田百合子さん著「犬が星見たーロシア旅行」。

私の大人になってからの趣味は海外旅行でした。20代、30代は年に2~3回は海外旅行をし、海外出張もあったので訪れた国は20か国を超えました。この10年は海外へ行く機会はぐっと減り、2-3年に一度程度でした。そして現在のコロナの影響。当面海外へ行くことは難しそう・・インターネットで繋がりやすくなった世界ですが、時間をかけてその地に赴き、自分の足でその地に立ち、現地の空気やにおいや音を肌で感じる感覚、、インターネットでは得難い体感と実感が海外旅行にはあります。できないと思うと思いが募り、最近は紀行文ばかりを選んで読んでいます。

 

犬が星見た」は1969年にシルクロードを経由してロシアへ行くツアーに、武田百合子さんがご主人で作家の武田泰淳さん、ご友人の作家竹内好さんと参加した際の旅行記です。

私もウズベキスタン、ロシアへ行ったことがあったので、旧共産圏特有の灰色でいかつい感じの建物や空港、不愛想な職員、反面色彩豊かな街中の市場や中近東からアジア、欧州の様々な人種の人々の顔つきや服装の様子を思い浮かべつつ読みました。紀行文は行ったことのない国を知る楽しみもあるし、過去に行ったことのある地の場合には、脳内で現地映像を再現できるという楽しみもあります。武田百合子さんの文章は切れがあって読みやすい。正直で辛辣。そして独特な表現にユーモアがある。箇条書きされた食事メニュー(どれもみなご馳走ではない・・)、トイレ事情など、飾らない現地の日常の様子が目に浮かぶ。でっぷりと太った女性がトイレに駆け込んで勢いよく用を足す様子や目つきの悪い狂暴そうなカモメの横顔の描写など、率直過ぎておかしいのなんの。犬が初めて星を見たら、へぇぇぇすごいなぁぁぁ面白いなぁと感動するんじゃないかという様がこの本のタイトルになっているそうです。(本を手に取ったときは旧ソ連の宇宙ロケットに乗せられた犬のことかと想像してましたが、違いました。)

旅先の風景や人々やツアーの仲間との会話に純粋な興味と好奇心をもちつつも、感傷的にはならず、百合子さんオリジナルの切れの良い言葉でさらりと描写しその場から立ち去る。冷静で賢い人なんだろうなぁ好きだなぁ。

紀行文を読むと、実際に見て聞いて食べてお腹を壊したりする経験は、確実にその人の肥やしになり、またその経験を紀行文という文字に変換することで、肥やしの部分を財産に変え、他人と共有できることが出来るんだと思う。肥やしって表現がトイレをひきずってますね、すみません。笑。

 

私もこれまでの経験(肥し)を変換する表現を見つけたい!

切に願う2020年クリスマスです。 

今日はこの辺でおしまい

 

f:id:Vivamylife:20201228100723j:plain

文庫本になってますよ